**1998年10月**

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T88(パラオ)(その2)
            JH0XUP/松川郁雄

続・T88X運用記

今回は補足として、PalauからのコンディションやM/Mで参考になった点などを
書いてみたいと思います。数ヶ月前の記憶を元に、しかも記録がないので感覚
的になりますが、お許しください。

(コンデション)
日本と時差がありませんので、コンディションの感覚はほとんど変わりがあり
ません。オープンの長さが多少ずれるという感じです。グローバルなロケーシ
ョンで考えると大票田のW、JAから距離があるので、KH0(Saipan)、KH2(Guam)
より不利と思われます。帰国後、何人かにお聞きしたのですが、各バンドとも
AH2Rより弱かったそうです。前回も書きましたが、ワンホップは違いますので。
ローカルのロケーションでは、New Koror Hotelの前に、巨大なOutrigger
Hotelができてしまったため、Eu方向が完全にブロックされてしまっています。
ローバンドのEuがほとんどできていないのは、このためでしょう。

後から聞いた話では、2日め21時(12Z)頃、21MHzでEuのわがままパイルアップ
を捌いていたとき、JH3TXR山本さんが呼んでくれていたそうですが、Euにビー
ムを向けているため、全くJAには気が付きませんでした。Euも開けきってしま
うと凄いもので59++で聞こえていました。Outriggerは関係なし??ただし、こ
れも閉じてしまうのは、もう少し西に位置するV8A(Brunei OP:JO1RUR)より30
分以上早かったようです。
この反対に、AFやCarib(ロングパス)を呼ぶときは、ビームを向けてもらえな
いので苦労しました。1日めの深夜はJRL-2000Fの調子が悪かったので、100W
で呼んで廻ったのですが、まず返事がありませんでした。例外は9J2A(Zambia
OP:JA0JHA)で、ベアフットで一発でした。さすがです。

Caribのショートパスは、21、28MHzともにJAの厚い壁に阻まれて、ほとんど
落とせませんでした。通常は整然としているJAも、Carib相手となると、ロン
グコール→エンドレスコール→QSYになってしまいますね。
<写真T88X-21:リーダのJA6VZB/T88JAと21MHz 4ele>

(Multi OP/Multi TXについて)
今回、T88Xに参加して、非常に勉強になったことが2点ほどあります。
その1つが同軸トラップ。私が学生の頃は、YAAトラップ(JA7YAA:東北大学)と
呼んでいたものです。詳細は59誌のJH4NMT松田さんの記事を読んでいただく
として、基本構造は消したいバンドのλ/4の長さの同軸を、端部をオープン
にしてT字に取り付けるというものです。JA6VZB森山さんはこれを各バンド
用意しており、その効果は絶大でした。各バンド500Wで送信しても、相互の
かぶりはあまりありませんでした。(むろん、完全ではありませんが)M/Mでは
ぜひ準備したいものです。

2つめが、CTをネットワークで結んだこと。今回は各COM1、2を使う昔からの
方法で構成されました。これは、JA6VZB森山さんとJE2PCY山田さんのおかげ
です。特に最近のノート型パソコンには、COMが標準で付いていないものも
あり、かつDOS/Vでの動作が確実なPCカードも少なくなってきており、パソコ
ン集めには苦労されたそうです。結局、2台はMac-VAPを使いました。聞いた
話では、最近はEthernetで組んでしまうらしいですね。AH2Rは1997年から、
これでやっているとか。私は、CT自体、コンテストでちゃんと使うのが初めて
だったので、非常に新しく、おもしろく感じました。
また、ネット上で簡単なチャットができるので、うまく使えばNew Multiを
他のバンドに提供できます。例えば、21MHzでA61ACに呼ばれたとき、"他の
バンドは?"と聞かれたとき。チャットの窓を見れば、"NW 28.***MHz"とあり
ますから、A61ACにその周波数を教えてあげられます。で、28MHzでQSOが成立
すれば、そのデータが21MHzで使っているパソコンにも送られてきて、画面に
表示されます。言葉足らずで読んでいる方に、うまく伝わらないかもしれま
せんが、楽しかったですよ。

CTの特長とされているパーシャルチェックですが、私は使いませんでした。
ネットワークでつないでいるので、操作が遅いためもあったのですが、それ
を利用したがためのミスがでそうで、ひたすら自分の耳に頼りました。
<写真T88X-09:CTをセットするJR6IQI/T88KT(左)、JE2PCY>

アンテナ調整には、SWRアナライザーMFJ-259Bを使いました。これ、SWRと同
調点がデジタル表示されますので、すごく便利です。ちょっと高め(T-ZONE価
格で\39,800)ですが、短期間でアンテナを上げなければならないときは、必
需品といっても過言ではありません。まあ、これを使っても3.8MHzのZRアン
テナには苦労しましたが。ところで、前回、ZRは1997 WW-Phoneの6Y4A…と
書きましたが、WW-CWの誤りです。すみません。詳しくは、59誌1998年2月を
ご覧ください。今回のZRは、JA6VZBの自作のものです。ここでも氏のバイタ
リティーが発揮されています。

(VIP Hotel)
残念ながらNew Koror Hotelのロケーションは悪くなってしまいました。T88DO
リアさんは居るし、屋上にも自由に上がれて、WCTCショッピングセンタに近く
便利、しかも安かったのですが、残念です。しかし、人気は落ちず、私たちの
後も、T88II(W9のグループ)、T88AQ/FB/SM/VO(福岡のPIRC)がQRVされています。
220Vが引かれたので、大きなリニアアンプもOKです。
歩いていて15分くらいのところにある、VIP Hotelは良いロケーションです。
ここのオーナーは元通産大臣だった、T88GN George Ngirarsaol氏です。この
ホテルには氏の3eleトライバンダーと、ゲスト用の3eleトライバンダー、7MHz
の逆Vなどが上がっています。T88GNはかなりアクティビティが高いので、聞か
れた方も多いのではないでしょうか。今回、最終日に会食する機会を得ました
が、優しいおじさんという感じでした。なお、ここに6mHのルーフタワーを建
てて、残してきました。持ち主のJA1WSX井出さんは既に所有権を放棄していま
すので、T88GNに問い合わせて下さい。連絡先ですが、下記のとおりです。
 ・VIP Hotel:TEL 680-488-4618
 ・George Ngirarsaol Company:TEL 680-488-2671
私たちも今回、こちらから出たかったのですが、いろいろあり結局New Koror
Hotelになりました。3人分はこちらに部屋を取りましたが。
<写真T88X-04:VIP Hotelの屋上、手前がゲスト用、奥がT88GNのトライバンダ>

(最後にPalauのこと)
空港のある島とKoror島を結ぶK-B Bridgeは落ちたままですが、仮設橋により
問題なく行き来がされています。いずれも夜通ったのですが、釣りをしてい
る人が多かったのが印象に残りました。

WCTCショッピングセンタは、改装されて売り場が広くなり、10ヶ月前とすっか
り変わっていました。お土産はここで購入されると良いと思います。ちなみに
Palauには工業がありませんので、ここで売っている工業製品(食料品を含む)
は全て輸入品です。が、かなりのものが揃います。TBS系の"世界ウルルン滞在
記"で生瀬勝久さんが買っていた白玉粉も、もちろんあります。

QSLカードはJE2PCYまで、なるべくJARL経由でお送りください。3月はじめより
SASE分から発行されています。

2回にわたり、お付き合いいただき、ありがとうございました。機会があれば、
今年も参加したいと考えています。これを読まれての感想、アドバイスなど
お聞かせいただければ幸いです。E-mail:kfe01105@nifty.ne.jp
(結婚するまで無線をしないと言っていたのは、どこのだれ??)

文責:JH0XUP/AA8VJ 松川 郁雄

(この記事は1999年3月京都クラブ会報No.342に掲載されたものです。)


==写真集==
t88x-all.jpg (66127 バイト)
コンテスト終了後、全員で撮ったもの  
前列左よりJR6IQI、JF1MIA、JA1WSX、JQ6GDP     
後列左よりJA6VZB、JH0XUP、JE2PCY


t88x-ant.jpg (10805 バイト)

8mHのルーフタワーに14MHz 3eleを上げている
JH0XUP。コンテスト開始1時間半前です。


t88x-01.jpg (19479 バイト)t88x-02.jpg (30547 バイト)
NKH屋上からJA方向を望む           ルーフタワーを組み立てるJA1WSX、JA6VZB

t88x-03.jpg (23234 バイト)t88x-04.jpg (21165 バイト)
ルーフタワーを組み立てるJF1MIA       VIP屋上、左T88GN用、右ゲスト用

t88x-06.jpg (17293 バイト)t88x-07.jpg (20970 バイト)
NKH No.361 きれいなった窓 ケーブルは入らない         OUTRIGGERを望む 

t88x-08.jpg (26209 バイト)t88x-09.jpg (20889 バイト)
スターライトで夕食、                 セットアップするJR6IQI、JE2PCY
左からJA1WSX、JA6VZB、JF1MIA


t88x-10.jpg (9222 バイト)t88x-12.jpg (21129 バイト)
 
NKH屋上から、夜明け             21MHz JQ6GDP、14MHz JF1MIA

t88x-13.jpg (18325 バイト)t88x-14.jpg (22180 バイト)
28MHz JA1WSX+JE2PCY          3.8MHz ZRを組み立てるJA6VZB

t88x-16.jpg (21744 バイト)t88x-17.jpg (15206 バイト)
3.8MHz JQ6GDP、7MHz JR6IQI                    7MHz 2ele ZR


t88x-22.jpg (18873 バイト)t88x-05.jpg (20620 バイト)
前左からJR6IQI、T88GN、JA1WSX、      21MHz 4eleを上げる、JA1WSX、JA6VZB
後ろJQ6GDP


t88x-11.jpg (18448 バイト)t88x-15.jpg (16708 バイト)t88x-18.jpg (13589 バイト)
28MHz 5eleを上げる、     14MHz 3ele+8mHルーフタワー      3.8MHz ZR
JA6VZB、JE2PCY

 
t88x-19.jpg (28056 バイト)t88x-20.jpg (15114 バイト)t88x-21.jpg (20358 バイト)
3.8MHz ZRを再調整する      3.8MHz ZR            21MHz 4eleとJA6VZB
JA6VZBと眺めるJA1WSX
 


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  Last Update May 12,2000