**2000年3月**

<<<T88(パラオ、exKC6)>>>

 T88JJ運用記     T88JJ/海老原和夫

いままで、パラオからは京都クラブの多くの皆さんが運用されていますが、今回も特に
変わった運用をした訳でもありません。    2000年3月15日から20日まで、のんびりと、
無線を楽しんできました。  今回の運用は私のパラオでの無線免許が4月29日で
切れるのでRenewalを兼ねて、狩猟期間が終わり、そして無線も春型コンディションの
最盛期である3月の末にでも行こうかと昨年10月頃から計画をしていたのですが、
そこへJA3UB三好さんご夫妻から、その時にご一緒させてくれませんかとの話しが
あり3人でのパラオ行きとなりました。

【飛行機便】
 今回もJAL臨時直行便を利用することとしました。  前回は出発・帰国便とも昼間の
便でしたが、今回は深夜の発着便の利用となりました。  パラオへは、フライト日さへ
合えば絶対にJALの直行便をお勧めします。 ただ、運行回数が月1〜2便ですので
旨く希望通りの日に利用出来ないこともありますが、名古屋発着便の利用も考えれば、
選択出来る日は広くなります。  コンチでのGuam経由便はやはり時間がかかり、
場合によっては10時間以上もかかることがあります。  今回パラオでお会いした
JA1BRK/JA1HGYさんたちが利用されたコンチ便では成田で出発が2時間遅れ
Guamでは機体のトラブルで飛行機の交換をするため4時間遅れて、結果的には
12時間かかったそうです。  トラブルという程のことでもなかったのですが、私たちの
便も着陸体制に入ってまもなく着陸かなあ〜、と思っていたら急にエンジンをふかして
上昇を始めました。  ややして、機長から「視界不良のため、着陸再行をします、
到着時間が30分程度遅れることを詫びします」とのアナウンス。  そして、2回目の
着陸時はやはりあまり気持ちのよいものではありませんでした。  そして、私たちを
ピックアップにきてくれていたスイングリー、通称"クロチャン"は「飛行機、遅れたネ、
着陸やりなおしただろう。 JALは、時々あるんだよ、いままでの最高記録は5回
やったヨ。 しかし、グアムへ戻れる燃料は余分に積んでるから大丈夫。 コンチの
パイロットは慣れてるから、めったに失敗しないヨ」とのことでした。 Hi

【無線運用】
パラオ深夜着そしてパラオ深夜発の便なので、実質の運用時間は16日から
19日までの4日間だったのですが、T88KM(JR3MVF)の三好さんは21メガを
中心にSSBのみの運用で1,400QSO、私T88JJがWARCのCW中心で2,021QSOの
結果でした。  T88KMは、YLであることをPRするため、SSBのみの運用とし、
いままで本格的YLのT8からの運用が少なかったかったせいか、EUからの
パイルは結構凄かったです。  JA3UBさんは、もっぱら昼寝とXYLさんの
LOG入力で過ごしておられました。 OP−ROOMは、三好さん夫妻が302号室の
ツイン、私が301号室のシングル・ルームにそれぞれが持参したRIGをセット
しました。  今回は、pia-japanがVIP HOTELに準備しているFT-920 / FL-7000の
設備は全く使いませんでした。  設備の概要は下記の通りです。
 301号室(T88JJ)
    IC-706MK2 Barefoot (100Watts)
 302号室(T88KM/JA3UB)
   TS-50s Barefoot (100Watts)
 アンテナ:
   3.8/7MHz用  ワイヤーダイポール 10MHz用
   ワイヤーダイポール 18/24MHz用  2-ELE HB9CV 14/21/28MHz用
   3/4 ELE YAGI 50MHz用    5-ELE YAGI
 アンテナについては、301号室のベランダに上記アンテナとローテーター用のケーブル
接続用BOXが作られており、このBOXから全てのアンテナとローテータにケーブルが
接続出来る様になっているので、大変便利に改良されおり使い勝ってがFBになって
いました。  今回の運用は2部屋に分かれてのものだったので、お互い、430MHZの
トランシ−バーを24時間スイッチオンしておき、これでお互いの運用状況を確認し合い
ながら使用するアンテナの選択をしました。  ただ、ローテーターだけは、コントロ−ラーを
私の部屋に置いたので、ハンディで「EUに向けて!」とか「USAに向けて!」の声で私が
廻していました。
 前回の運用で活躍しくれた東京ハイパワーのHL-1Kfxがなぜか旨く動作せず、
結局最後まで2局共100ワット運用でしたが、CONDEXがよかったせいでしょうか、
それなりの結果であったと思っています。  今回は、10メガのアンテナ・エレメント調整を
頼まれてましたので、MFJのアンテナ・アナライザーを持参し、到着翌日の3月17日に
小雨の中、6.4メガに同調していたダイポールを、何度かエレメントを上げ降ろしして
10.120MHzでSWR=1.1に下げることができました。   いままで、10メガでの運用が
少なかったのでしょうか、すごいパイルを受けて結構楽しめました。 それに、USAから
「NEW ONE ON 30M」と打ってくる局が多いのにも驚きました。 そして、いま現在、
この10メガの北米(VEを含む)からのSASEが結構たくさんきています。  T88KMの
三好さんはYLRLの関係で結構アチコチW-Wに駆け廻っておられ、JR3VFMの
CallsignはYL関係者の間では世界中に知られている方なので、彼女のQSOを横で
聞いていて、懇意の局から呼ばれた場合、パイルそっちのけでラグチュウーが始まり、
やきもき、させられました。……HI  コンディションが良かったので、SKEDを組んで
おられた全てのEUの局とQSOされた様ですので、喜んでおられました。
 私自身も今回は、あまり無線運用に偏らず、島内観光など無線から少しは離れた
行動をしようと思ってましたが、結局はやや無線は控えた程度くらいの運用になって
しまい、前回とあまり変わらない2,021QSOとい結果で終わりました。

【T88JJ, Renewal】
 今回のT8行きの目的のひとつであったT88JJのRenewalのため、3月17日の金曜日に
飛行場2階にあるテレコムへレンタカーででかけました。  どうも2階の様子が前回
訪ねた際の雰囲気と違います。 階段を上った左側だったはずなのですが、大掛かりな
改装工事をしています。 Officeのガラス窓から中を覗くと一人の日本の方と目が合い、
廊下まで出てこられました。   お互い自己紹介をしてみると、この方がいち時期、
無線関係のメールを賑わした「JICAの白瀬(白幡?)さん」でした。  このJICAの隣が
テレコムでだったのですが、Officeの中の雰囲気も以前訪ねた際とえらく変わって
いたので、判らなかったのです。  がら〜んとしていて、沢山おられたスタッフも、
私が窓越に見たときは、事務机も3組くらいしかなく、若いYL1人しか居られず、
たまたまアサヌマ女史はこの時、別室におられた様でした。  JAICの白瀬さんと
5分ほど話しをした後、テレコムを訪ねたらアサヌマ女史がおられ、Renewalをお願いに
きた旨、伝え用意してきた書類1式を渡しました。  まず最初に、このRenewalは
あなた自身のものか、それとも頼まれたものであるかをたずねられ、私自身のもので
あることを添付しているパスポートのコピーで確認されました。  この時の雰囲気で、
最近、第3者からの「頼まれ申請」が多い様で、そのことにたいしてアサヌマ女史が
少し「おカンムリ」の様に感じました。  ですから、これからの申請は、T8へ行かれる方に
ことずけるより、本人がそれなりのコメントをつけて郵便で申請したほうがよいかも
しれません。  今回は、アサヌマさん、大変ご機嫌がよかったのか、若いYL職員に
コーヒーを持ってくる様に言ってコーヒーまでご馳走になり、T8でのいままでの運用状態や
日本のアマチュア無線の様子、京都の様子などを聞かれたりして30分ほどOfficeで
お邪魔していましました。 そして、いまベケベケマッドさんが居ないのですぐには
免許発行できないが、次ぎの月曜日にまだ滞在しているのなら、渡せる様にするが
とのことでしたが、残念ながら日曜日の早朝にパラオを離れるので、郵送でお願い
しました。  わざわざ、Officeの外まで見送ってくださいました。  帰国して10日
ほどで、無事、Renewalされた免許証が届きました。  そして、何と何と、特にお願いは
してなかったのですが、今回の免許期間が2年になっていました。  何人かの方が、
2年間で免許になっているとは聞いたことがありますが、そして、JA3の方が2年免許を
お願いして「ダメ」と言われた方もおられたのですが、私の場合、特にお願いしてなくて
2年間で免許されたのにはびっくりしました。  そして、有効期間も前免許期間の
切れる4月29日から2002年4月29日になっていました。 大抵の方は、申請日前後から
1年(ですから実際は1年未満の期間)になっているのですが、私の場合は先の
日付けできっちりと2年免許になっていました。

【レンタカー】
今回も2日間、レンタカーをかりました。 昨年と同じ「King's Car Rental Agency」
というところにたのみましたが、今回は「右ハンドルがいいか、左ハンドルがいいか、
 セダンかRV(1BOX)か」と聞いてきました。 6ケ月の間に貸し出せる車種がふえた
のでしょうか…。  右側通行で右ハンドルの車を運転したらそれこそ事故に直結
しますので、勿論、左ハンドルの車種をお願いしました。 2000ccのセダンで、料金は
昨年と同じく、60ドル/1日(フル保険加入)でした。

【P.P.Rのアンテナ】
 3月17日は午前中テレコムへ行き、午後からは三好さんご夫妻が初めてといわれる
観光スポットをレンタカーで廻りました。  16日までは、お天気がもうひとつでしたが、
17日はなんとか晴れ間も見えるお天気になりました。  そして、昼食をP.P.R.
(Palau Pacific Resort)で摂り、八重洲無線のレンタル・シャック用のアンテナ・タワーが
完成したと聞いていたので、どんな物が出来たのかそのタワーを探しにいきました。
 無線のアンテナ・タワーだから当然ロケの良いところに建てているはずだし、すぐに
判るだろうと広い敷地のPPRを中をくまなく廻ったのですが見つかりません。  フロントへ
行って、電気設備のメンテ関係の責任者である曽根さんを呼び出してもらいタワーまで
案内して頂だきました。  行って驚きました。 いくら探しても判らないはずです。
 PPRの北端のゲスト・ルームからうっそうとした樹木の茂った急斜面を約100m程登った
ところに樹木を伐採してアンテナが上げられるだけの空間が作られた広場にワカマツの
CQタワー(3段15mH)はありました。  前日の雨で、斜面はぬかるんでいるし、
旧日本軍の塹壕あとの溝があるし、砲弾でできたすり鉢状の大きな穴があいてるし、
といったところなにあるので、そこまで行くのが大変です。 私たちは、普通の
スニーカーを履いていったので、ホテルへ帰ってからの靴掃除が大変でした。  昼間で、
あの状態ですから、深夜便で到着した場合、明るくなるまではアンテナが上げられない
(クランクアップできない)ので運用出来ない訳です。  また、ときどきは蛇も出るとの
ことなので、なおさら夜間のアンテナ上げは危険です。  穴掘り、コンクリート打設が
たいへんだったそうで、車の入れる道から100m程の索道がまだそのままになって
いました。  その索道を使って機材やコンクリートを運び上げたそうです。  それより、
現地の職人が穴堀を嫌がったそうなのです。 理由は、この辺は太平洋戦争の激戦地で
あったため、まだまだ多くの不発弾があるのだそうです。  しかし、ロケーションは抜群に
良いし、あそこから1KWで運用したらさぞかし良くとぶだろうなあ〜、とは思いました。
 すでに、いままでに2グループが運用しましたが、どの信号も大変強力に入感して
いました。

【JA1BRK/JA1HGYとJOINT】
 事前にJA1HGY間下さん(10年程前に一緒に京都でお酒を飲んでいる)から、
ほぼ同時期にホテル・ニッコーから運用するのでよろしく、とのメールをいただいて
ました。  18日(土)にホテル・ニッコーのレストランで夕食をご一緒し、無線の
話題からダイビングの話題まで楽しく会話が弾み、10時過ぎにQRTとなりましたが、
それから彼らのシャックを見学させていただきました。  1.9〜50mhzまでのアンテナ、
ローテーター、ポール、パソコンそれにダイビング関係のギアー一式などで1人宛て
60kgを越えたそうで、やむなくコンチのビジネス・クラスで来られたそうです。
 無線の運用に関しては、少し距離が離れているのと、また彼らは50mhzが
メインであり、私たちがQSOしているEUやNAの相手局が聞こえないなどで、
あまりHFでの運用は考えておられないので、同じバンドでの競合や混信は
有りませんでした。

【ドラゴン亭】
 前回行って、大変気に入った店だったので今回も夕食に1度行ってみました。
 シャコガイのサシミはやはり美味しかったですし、"パンの実"の唐揚げがあんなに
美味しいとは知りませんでした。 これもお勧めの一品です。  そして、和歌山出身の
20歳の新人YLが店員として来ていました。 

【結び】
 結果的には、免許もRenewalできたし、CONDEXがよく100ワットとしては結構よく
飛んでくれたし、T88KMとの2波同時運用も100ワット運用だったせいか、相互の
"カブリ"も全く無かったし、快適な運用がお互い出来て楽しく4日間を過ごすことが
できました。  今回はWARCのCW(90%)をメインに運用して2,000QSOを達成できたので
それなりの成果は得られたと思っています。  「ミレニアム2000」アワードも近いうちに
申請しようと思っています。
 折角、2年免許をRenewalしたので、来秋くらいにでもまた行けたらと思っています。

                                             (おわり)


(この記事は2000年4月〜5月京都クラブ会報No.355〜356に掲載されたものです。)

   
==写真集==
t88jj-015.jpg (16891 バイト)t88jj-014.jpg (21141 バイト)
     
オペレート中                  パラオの「トラキチ」


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  Last Update May 12,2000