**2000年10月**

<<<KHφ(サイパン)>>>
はじめての海外旅行(無線付き)     JI3NST/NH7V

みなさんのように、無線の内容については詳しく書けません、しかも拙文です。ご了承下さい。
それでは・・・

0.前準備 − 休暇をゲット・さて何処へ行く?

なにしろ、はじめて海外へ出かけるので、どうして良いかわかりません。JH0XUP松川さんから
「海外ではないですがJD1へどうですか? とかKH4は普通の人でも行けるようになっています」と、
いろいろアドバイス頂いていたのですが、結局いちばん楽ちんそうなKH0レンタルシャックを利用
することにしました。これで無線関係の持ち物はノートパソコン1台ですみました。ひとりで
シャックを借りるわけですから、渡航費・宿泊費でかなりの金額になります。外貨は500$現金、
KH0での出費はこれ以内に収めることにします。

1.出発前日 − 寝付けない夜(10月20日)

仕事を早々に切り上げて、荷造りをします。借り物のスーツケースにはまだ半分くらいのスペースが・・・。
そこで、カップラーメンとかご飯(電子レンジでチーンのやつ)を、詰め込みます。荷造りが出来たので寝
ようかと思いましたが、寝付けません。まるで遠足前の小学生のようです(今時の小学生はどうかな?)。
FCCのルールブックでも見ていたら、そのうち眠れるでしょう・・・「うーん、JAの免許をベースでKH0で
運用する場合はKH0/J*****とコールサインを示せばいいのだけど、私の場合はどうなのだろう、KH0は前か後ろか?
ルールブックを見てもわからない。前に置く人もいれば、後ろに置く人もいるので、まあどっちでもええか」。
そのうち眠ってました。

2.出発日 − KH0へGO!(10月21日)

京都駅始発の「はるか」に、乗ります。自由席の車内はがらがら。はじめて「はるか」に乗りますが、京都〜
天王寺間はスピードが余り出せず、本領を発揮するのは阪和線に入ってからです。もう少し遅い時間なら、
新快速と関空快速を乗り継いでいたでしょう。関西空港に到着しました。はじめて知ったのですが、国際線を
利用する人は、空港使用料2650円を支払わないといけないらしい。さっき旅行の保険に加入したので、日本円が
残り少なくなっています。かんべんしてください、関空さん・・・。荷物、出国に関してはなんら問題なく
ひまをつぶします。搭乗する時刻が近づきました。「ジャルウェイズなんたらかんたら〜」とアナウンスがあった
ので、乗り込みます。私の席は窓側ですが、翼しか見えないじゃないか。乗客は男女2人、もしくは何人かの
グループがほとんど、「あんたら何をしに行くの?」と思ったが、逆に「あんたは一人で何をしに行くねん」と
思われていたでしょう。離陸か・・・、飛行機に乗るのは初めてではありませんが、こればっかりは気持ちが
悪いです。遊園地のジェットコースター等、それと観覧車でさえ怖くて乗れない私にとっては苦痛な時間です。
気分を変えるため、機内で行っている放送をヘッドホンで聴いてました。私の好きな音楽、ジャズのchに
合わせてっと、「う〜んやはりボーカルはエラ・フィッツジェラルドがええな」。機長のアナウンスによれば
KH0までの天候はおおむね良好らしい、よかったよかった。

KH0到着! ・・・田舎である。入国審査、すんなり通過。やたら日本人が多いが、もうここは外国である。
Wの領土であるがサイパン島などを含め、正式にはCNMIというらしい。KH2とKH0は近いようですが、DXCC
ではセパレートされていますよね。行政区分がよくわかりません、今度ちゃんと調べておこう。レンタル
シャックのあるマリアナリゾートのお迎えが来ています。車はお世辞にも良いとは言えない、道もかなり悪い、
沿線は建設中の建物が多い。日本の企業がやっているのだろうか。別に田舎のままでいいと思うのですが。
レンタルシャックのあるマリアナリゾートはサイパン島の北の端ですが30分で到着。かなり小さな島の
ようですね。フロントでチェックインして、まず行ったことは水の購入。1.5Lのミネラルウオーターを5本
買いました。30$ナリ。え? レートが1US$=107円くらいだったので3200円以上もするのか? 
しかたない、多分この地は水が貴重なのだろう、買ってしまえー。

部屋・兼シャックに着きました。まずは機材のチェック、なんだこの機材の多さは、これをすべて一人で
チェックするのか・・・。ふぅ、2時間くらいかかったぞ。それではリグ・リニア等をセッティングして
クランクアップタワーを上げましょうか。部屋の外へ出ました、くぅ〜、なんてきれいな眺めでしょうか。
海の色がJAのそれとぜんぜん違うんですよ。あの色ふしぎな色ですね。海を眺めるのも良いですが、タワーを
上げなければなりません。重い、クソ重い、そして蒸し暑い、もう限界・・・。途中までだけど、10m
以上(多分)あがっているので、良しとしましょう。アンテナがすでに取り付けられているのが救いでした、
アンテナ組立を一人でやらないといけないのなら、この日電波は出ていなかったでしょう。つぎはケーブルを
部屋へ引き込む作業をします。となりのコテージから犬が2匹やってきて、吠えられました。ばりばり警戒
しているようです。犬は大好きなので、怖くはないのですが、こう吠えられてしまっては・・・。ケーブルを
引き込む作業をしていると、2匹のうちの1匹(ブラックドッグ)が、のんきに用を足しております。
「これこれ!、ここは私が作業をするところですよ!!」

さて、電波を出しますか。再度、バンドプランを確認。14/21/28をワッチして、JAが聞こえる
バンドを選択します。やはり21ですか。SWR大丈夫、ビームはいい加減ですが多分JA方向でしょう。
それではSSBでCQをば。どきどきどきどき、およそ20年くらい前、初めて運用したときのようです。
1stはJR6でした(0754UTC)。この日は5局だけ、JAとVR2とやってあとはのんびり過ごそうと思っていたら、
そうそう食事はどうしよう。ニッポンから持ってきたカップラーメンでも食っておくか。さて、一息ついて
リグのスイッチを入れましたが、全然聞こえません。おかしく思い外を見るといつの間にか雨が強く降っています。
ケーブルの中継箇所を調べたりしましたが、一向に原因がわかりません。持ってきた、BCLラジオで受信すると、
ちゃんとJAやEUが聞こえます。あきらめて今夜は無線をせずに眠ることにしました。あとで八重洲無線の黒崎さん
から聴いたのですが、雨が降るとどうしても、受信が悪くなるそうです。近くの短波放送局の影響を受けるとのことです。 

風呂に入って、寝る準備をしますが、私は寝付きが悪いです。BCLラジオで、JAの放送を
聴きながら寝ることにします。NHKの国際放送はプログラムが良くわからないので、中波を聴いてみます。
100kWクラスの民間放送がFBに入感しています。バンド中をスキャンすると、NHKがバンドの下から上まで
強力に入ってきています。近隣諸国にQRM?をまきちらしていると思うのですが・・・。それでは、おやすみなさい。

3.KH0の二日目 − 買い物ブギ(10月22日)

朝おきたら、LTで7時頃でした。21をワッチしますとJAが良く入っています。今日は電信をやることに
しますか。電信はしばらくやっていません、運用に自信がないのでDX通りは避けることにします。
21.040くらいでCQを出しますと、JAから結構呼ばれます。そういえば今日は日曜日でした。QSOが50くらいに
なりましたが朝ご飯はどうしましょうか。持ってきたパックのご飯を電子レンジでチーンといきたいところ
ですが、電子レンジはありません。電気コンロとフライパンがあるのを思い出しました。フライパンにパックの
ご飯をぶちこんで、ミネラルウオータを少々加えます。しばらく加熱すると、食べられるようになります。
このままでは持ってきた食料もすぐ無くなりますので、買い出しに出かけることにします。フロントで滞在中
バスが乗り放題のチケットを8$(だったと思う)で購入。これはありがたい、バスも結構ひんぱんに
来るようです。私の住む大枝より、便利じゃないか・・・。

バスに乗り込み、島の中心ガラパンへ行きました。日本人が多いぞ、そして「旅の恥は、かきすて」的な人も
中には見受けられる、これは頂けない。もうちょっと考えて行動しましょうね。さて、私はメインストリート
から外れた、あやしげなスーパーへ入った。店員は東南アジア系の人と思われる。客もそのようで、日本人も
アメリカ人も居ないようである。値段を見ると「おお、安いではないか!」。日清食品のシーフード・ヌードルが
0.55$で売られている。賞味期限があやしい上、中身もパッチモンくさい。私は気にせず、
それと、サッポロ一番、あとハングル文字が書かれているカップラーメンを買うことにしました。これだけでは
足りないので、食パン一斤(1$)を手にしました。あと欠かせない水分を。ミネラルウオータを見てみると、
結構安そうです。「ちょっとオッサンこれなんぼ?」と訊きたいところだが、英語が通じるのか良くわからない。
表示がリットルでなく、ガロンというのが痛い。ホテルで買うより安いはずなので、エビアンを3本持って、
レジへ。実際安かったので、明日もここで買いましょうか。

昼ごはん抜きで、あちこち回ったので疲れています。今日の夕食はホテルのレストランを利用することにしました。
身なりをきちんとしていないですが、腹が減っているので、とにかくレストランの中へ・・・。ウエイトレスに
「Good evening sir」と言われてしまいました。いやいや、この身なりなのでそんなことを言われると恐縮なの
ですが。注文はえび入りのカレーとビール。味が完全に日本人向けですね、まぁ気分だけでも味わいましょう。
食べ終わったころ「ぺいまん・かす?」と言われて、何を言ったはるんや・・・「perdon?」。ああ、わかった
「payment cash?」、(現金でお支払いですか?) ということですね。

部屋に戻って、スーパーで購入したエビアンを飲んでみました。「まっずー」、もう一杯とはいかなかったです。
ボトルに印字されているexpiration(賞味期限)を確認しましたが、まだ飲めるはず。もともとエビアンが私の
口に合わないだけでしょう。

21Mでほそぼそとやってきましたが、他のバンドはどうでしょう? 28Mの電信でCQを出しますと、いきなり
JA3UWB岩本さんのコールを頂きました(0912UTC)。うれしくて、あたふたしてしまい、気のきいたメッセージも
お送りできず、申し訳ありませんでした。そのあと、21M、14Mと降りていきました。午前にK5Kキングマン
リーフのペディションがあると言うことをとある局から聞いていましたので、その運用を妨げないよう、周波数を
選びました。特に14Mの運用は神経を使います。JA内で運用しているときもこのバンドだけは、運用に気を
使います。いちおうDXのメインストリートですから・・・。

2日間でおよそQSOは100で、のんびりやっています。風呂に入って、おやすみなさいです。

4.KH0の3日目 − メモリアルパーク(10月23日)

朝、8時か9時頃に起きました。昨日買ってきた食パンを、口にすると「やっぱり、おいしくない」。贅沢も
言ってられないので、ミネラルウオータで流し込む、「あのスーパーは、もうやめよう・・・」。今日は少しばかり
観光へ行きたいのですが、出発前にリグに向かいます。28M・21M電信電話で、60局くらいやって、そろそろ
行きますか〜。マリアナリゾートからビーチへはすぐに行けます。人はあまりいません、海の中に入りたいところ
ですが、私は泳げないので、ぼーっと眺めているだけです。景色を十分堪能した後は、またまたバスに乗って
ガラパンの方へ向かいます。途中、気になった場所があったので、すぐバスを降ります。アメリカン・メモリアルパークと
示されています。歴史のことは良く知らないのですが、太平洋戦争の時はここも、戦争の拠点になったのでしょう。
父が歴史に詳しいので、今度つれて来ようかと思います。

歩いて、ガラパンの方へ向かいます。大きなマーケットを発見! 品揃えが豊富で、値段もそこそこ。はじめから
ここで買えば良かったな〜。バドワイザー1カートン、カップラーメン、食パン、ミネラルウオータ、そしてUFOを購入。
しかしUFOが3$とは、結構高い。今日のdinnerはUFOに決定である。

せっかくレンタルシャックに来たのに、無線をろくにやっていません。0725UTC、21M電信から運用再開。EU相手に
約100局やって、入浴・そしてdinner。KH0で食べるUFOはJAで食うよりうまい(感じがする)。寝る前に14Mの
電信を少しやります。今まででQSOは320ほど、相変わらずのんびりしています。無線もそこそこにおやすみなさい。

5.KH0の4日目 − でっかい送信アンテナを目指せ!(10月24日)

朝食を簡単に済ませて、リグに向かいます。0000UTC、21M電信に出る。もうこればっかりである。JAと20局ほど
やって外出をしようと思った。こちらへ来てからずっと気になっている、あの大きなアンテナのあるところへ行きたく
なりました。運用記録に、JN1WTK黒崎さんが「事前に電話をしておけば見学できます」と、書いてらっしゃいます。
しかし電話でアポイントメントを取ることなど、出来ようがない。別の手段を考えよう。そういえばガラパンの近くに
レンタルスクータのお店があったな。あれを借りれば、行動範囲も広がるし、いいかもしれない。それではガラパンへ
行くかー。バスに乗っていると、ニッポンの人に話しかけられた。「その帽子涼しそうでよいですね」。私は農作業用の
麦わら帽子をかぶっている。しかも漢字で「香港」と書かれているTシャツを着ている。でも、日本人に見えるのか。
その人は関東から来られたそうで、しばらくお話しを。「グアムとかハワイは、観光地の開発が進んでしまっておもし
ろくないですね。でもここサイパンは田舎の雰囲気が残っていて良いですね」と言われていたが、まったくそのとおり
だと思った(グアム・ハワイが実際どうかはわかりませんが)。

しばらくして、ガラパン到着。免税店の近くで、ちょっとこわそうな兄ちゃん(アメリカ人)に「レンタルスクータの
店を探してるんだけど」とたずねる。「あるにはあるけど、やめておいた方がいいよ」。英語が完全には、聞き取れないが
ぼられるらしいから、やめた方が無難という事みたい。彼はタクシーの運転手で、車を10数台所有しているらしい。
「このあたりを観光して、例の放送局を回って、ホテルまで20$でどうだい?」と、言っている。商談が成立した。
私の下手くそな英語にもつき合ってくれる、なかなか面白い兄ちゃんである。私が「日本の仕事はつまらない、ここで
暮らせればいいのに」というと、「仕事? あるよ、教えて上げるよ」と言ってくれた。JAの仕事に飽きたら、サイパンで
仕事をしてみますか。「あんたはプレジデントだ」というと、兄ちゃんは笑っている。詳しく訊くと、父ちゃんは確かに
金持ちだけど、母ちゃんがとんでもない人らしい。父ちゃんと離れて暮らしている、あいたいな〜と言っている。うーん
複雑である。

例のでっかいアンテナの放送局、KFBSに到着しました。スタッフが居ません。あたりをきょろきょろみまわして、ようやく
人を発見。「私は、ブロードキャスティング・リスナーでハムです。この放送局に送信システムが見たいです」、適当な
英語で要件を伝える。彼は了承してくれたが、仕事があるので15時くらいに再度来て欲しいとのこと。これで、アポは
とれた。彼もハムでKH0EXのコールサインを持っている。

タクシーの兄ちゃんがホテルまで送ってくれた。しかしやることがないので、もう一回ガラパンへ行きたいと言った。
おみやげも買う必要があるからだ。再度ガラパンへ到着。タクシーの兄ちゃんは、ホテルからガラパンまでは、別の
料金だよといっている。当然だ。そこをなんとかと頼み込む。メータはすでに80$ほどになっている。兄ちゃんは
「あんたが金がないのは、わかったよ。40$でいいよ。そして15時になったら放送局に連れていってあげる」。
放送局へ行くと、また別の料金になるのか、心配なので「40$を越えるのか?」と、たずねると「いやいや、40$
だけでいいよ」と、言っている。太っ腹な兄ちゃんに感謝。チップを合わせて50$支払う。兄ちゃんが言うには、
「東南アジア系のドライバーには気を付けた方がいいよ、メータの料金をそのまま言って絶対譲らないからね・・・」。
本当なのかな?

昼ご飯を食べるのを忘れていました。カントリーハウスという店に入った。店内にはブルーグラスがBGMに流れている。
サイパンでブルーグラスとは、なんともミスマッチな感じであるが、美味そうな店である。スペアリブのようなものが
メインで、これはいける。11$程度だったが、満足して、レジのお姉さんに「nice taste」というと「thank you」と
言ってくれた。昨日の、マーケットでおみやげを買うことにしましょう。今回の旅行、とにかく貧乏である、高いモノは
買えません。定番のチョコレートを買います。

さて、そろそろ放送局に行かなければなりません。マリアナリゾートまでバスで帰還。タクシーの兄ちゃんは乗せていって
あげると言っていたが、これ以上甘えるわけには行きません。歩いていくぞ!。ハイウェイ(といってもJAでいえばただの
県道みたいな道)を歩いていたら、タクシーの運ちゃんに「どこにいくの?」と、声をかけられました。放送局を目指して
いるといったら、「だいぶ時間がかかるよ」。私は「no problem」といって、山道へ入っていきました。やはりキツイ、
しばらく登っていると、雨が降ってきたではありませんか。もうずぶぬれである、車が通りかけてくれないか・・・・
気分は以前「電波少年」というテレビ番組でやっていた、ユーラシア大陸横断ヒッチハイクの「猿岩石」のようである。
彼らに比べたら、私など甘ちゃんである。我慢して登ろう。

やっと、着きましたー。事務所で「KH0EX(Owen)と約束があるのですが」、と女性に伝えます。いろいろ電話をかけてくれた
ようですが、Owenがまだ仕事中なので、代わりにKH0AF(Bob)が案内してくれました。送信機のための電力設備、変調器、
フィーダ、アンテナ、そしてスタジオと、足を少々悪くされているようですが、丁寧に説明をしていただきました。
KFBSのプログラムを教えてもらって、JAで受信をして下さいと。KFBSのQSLも頂戴しました。案内がおわったころ、Owenが
戻ってきました。そこで、局舎の前で記念撮影。下山となりますが、Owenがホテルまで送ってあげようと言っています。
へとへとだったので、感謝感謝です。ホテル前で、「かならずまたここへ来ますので」と言って、握手をしてお別れです。
many tks fer bob es owen

明日はとうとう、帰国しなければなりません。この夜はもう少しだけQSOを延ばそうと思い、21Mを聞きますが
いまひとつです。上げられているトライバンダーは18Mも乗せられるそうなので、出してみますがあまり飛ばないようです。
仕方がないです、14Mに降りますか。夜からはやはりEUでしょうか、受信を良くするためにビームをくるくる
回します。なんだこの切れは・・・フロントとサイドで、全然違うじゃないか。いままでダイポールとGPで運用してきた
私ですので、こんな事を感じるのですね。とりあえずショートパス方向へ向けて、電力を3,40Wに絞ってCQを出します。
パイルを浴びないための作戦です。しかし私は甘かった・・・受信がよいのだから当然、良く飛ぶ。それとロケーション・
コンディションがとても良いのですね・・・。EUからの洗礼を受けることになりました。電信でしたが手に負えなくなり、
スプリットしました。ここからがまた大変。RITのロータリーエンコーダがつぶれていて、周波数が飛びまくります。
サブVFOを使えばよいのですが、取り説を読む時間なんてありません。つぶれたRITでスプリットを続けます。
何を考えているのかJAも呼んで来るぞ。指定をしていないから、つき合います。私も何を考えているのか、和文で
「さようなら」と打ってしまう。良い加減疲れてきたので缶ビールの量も増えてきました。数本目で泡が吹き出して、
テーブルがビールの泡だらけに。ASを連打します。いやいや飲酒運用はよろしくありません、もうしません。
休憩・入浴などをいれて運用していたら外はもう白んできています。EUもフェードアウトしたようなので、就寝です。

6.KH0の5日目 − さようならSaipan island(10月25日)

起きたらLTで10時頃です。さっさと機材を片づけて、帰る用意をしないといけません。ケーブルを片づけていると、
あのブラックドッグが、また吠えまくっています。私は部屋に戻って、パンをあげました。おとなしく食ってくれている
ようです。その間にケーブルを巻いて、タワーを降ろします。降ろしながら、「結局、他のバンドのアンテナをあげる時間が
なかったな・・・、せっかく50Mのアンテナも付いているのに、やったのは14/18/21/28だけか・・・」。
フロントでチェックアウトして、昼ご飯をたべます。名残惜しいですが、空港へ向かいます。空港で出国の際、はじめて
引っ掛かりました。原因はキーホルダーとして使っている、音叉のようです。じーっと見つめる係員、しばらくして「OK」。
ふぅ〜、金属物はやはり注意が必要なのか。空港内の殆どは日本人、それではみなさんニッポンへ帰りましょうか。

サイパン空港を離陸、できればこのままここに住みたかったな、庭師のしごとでもあればやってみたい。飛行機の中で
パソコンのログを、眺めていました。なんだ、電信ばっかりじゃないか。英会話が苦手なので仕方ないか〜、RTTYも
やりたかったな。ごそごそしているうちに、もう関西空港です。帰りは、関空快速と快速の乗り継ぎで、向日町駅まで行きます。
身なりがかなり怪しい(ひげはそっていないし、ボロボロの麦わら帽子をかぶったまま)なので、みんなじろじろ見てます。
通勤時間帯にひっかかったのがまずかったですね。混んだ電車で、私にぶつかったサラリーマンは、「sorry」と言います。
おいおい、そんなに怪しく見えるのかいな。よる、8時頃家に到着でした。

けっきょくKH0での出費は240$くらいでした、「タクシーの兄ちゃんごめん、お金余ったよ・・・」。おみやげと、水、
タクシー代が大きな出費でした。ろくなモノを食っていなかったことになりますね。でも精神的に満足できた、旅だったと
思います、いろいろ学習もしましたし。しかし総QSOが600というのは、かっこうが悪いですね。かんべんしてください。

7.あとがき

中学生の時、アマチュア無線の免許を取って、この歳ではじめてDXへ出かけました。学生の頃あこがれだったW4BPDやW9WNV
(残念ながら彼らの信号を聴いたことはありません)みたいにはいきませんが、第一歩を踏み出すことが出来たのでしょうか?
W4BPDはLH4Cできつい運用を強いられ、OH2BHは3C0ANの運用でマラリアにかかり、スプラトリーに出かけたDJ6SIのグループの
何人かが銃撃にあって、命を落としたときいています。気軽に行けるKH0とはレベルが全然違います。クランクアップタワー
さえ上げるのに苦労している私のとっては、DX peditionというものは遠い世界なのかも知れません。

しばらくたったある日SASEが一通届いていました。U.K.からです。プリフィクスが2E0なので最近免許を取られたのでしょうか。
21Mの電信で呼んでくれた局です。パワーは10W、アンテナはLOOPとあります。「KH0は、はじめてです、DXCC WAZの
ためQSLを・・・」と書いてありました。私がDXをやり始めた頃も、QRHのひどい10Wの無線機とダイポールで電信を叩いて
いました。いまでも状況はあまり変わっていません。ですからとてもうれしいQSLですね。


(この記事は2001年1月−3月京都クラブ会報No.364-366に掲載されたものです。)


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  Last Update Jan. 12,2001