第98回観察会 2011年5月26日(木)12:05〜13:55 曇り

テーマ 『放射線の線量と生物への様々な影響』


☆ガイドレポート

3月11日に発生した東日本大震災で起こった福島第一原子力発電所事故に伴う 多量の放射性物質の放出と放射線被曝がいま大きな問題になっている。 「ものを怖がるには相手の正体をよく知り科学的に怖がること」が大切である。 人類と放射線の出会い, 放射能や放射線の違いと性質, 我々の周辺に存在する放射線源, 福島第一原発から放出された放射性物質の汚染状況, 放射線がもたらす生物障害の種類と線量依存性, 線量率効果や分割照射の効果から実証される放射線障害の回復, 細胞や生体組織の放射線作用の標的分子である遺伝子DNA, その損傷と修復機構, 細胞が備えている放射線危機管理システムなどを駆け足で説明したあと, 現在の放射性物質の汚染状況が維持されるという条件下ではあるが, 「現在の放射線の線量,生物の持つ回復・修復能を考慮すれば, リスクはある程度あるがまだ許容の範囲内」であることを知ってもらった。 多くの内容を含んだものになったが, 専門的知識を知っていただきながらの講義であったので時間オーバーはやむを得なかったと思っている。 慣れない用語にもかかわらず熱心に講義を聞いていただき, きわめて的をえた良い質問をたくさんしていただいたので, 演者としては十分に手応えがあった。 今後も原発放射能は大きな問題であり続けることは確かである。 この講義がその理解に少しでも役立てば幸いである。

案内人: 米井脩治さん(京都大学名誉教授 放射線生物学)
     秋山秋梅さん(京大理学研究科 環境応答遺伝子科学)



レジュメ
発表資料



☆ 参加者の感想

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