2004年1月20日

「京大植物園を考える会」設立の趣旨

 「京大植物園を考える会」は、2003年4月に学内外の有志によって設立されました。これは、理学部植物学教室(当時の管理者)および理学部当局によって、2002年11月より行われた、京都大学理学部附属植物園(以下植物園)における樹木伐採を契機としています。本会は、今次の伐採に関する賛否の意見をふくめ、この他にも、植物園に対しては様々な立場の人々が、様々な意見を有することを知り、以下の3点を活動目標に据えてきました。
1)それぞれの立場を越えて、ともに植物園の将来像を考えていくこと
2)植物園の存在をひろく人々に知らせ、その存在価値について問いかけていくこと
3)活発な意見を出しあえる、議論の場を提供すること

 植物園は、「単に珍しい植物を集めた栽培園ではなく生態学的特色をもったものにしようとの構想のもとに」生態植物園として設立されました。系統分類学をふまえ、植物が国内外から集められ、面積的には2ha弱と小さいなかにも疎水の水を引き水路や池、ヒカリゴケが培養された洞穴をも有するなど、特色をもった植物園としてこれまで維持管理されてきました 。
 そのような特色を有する植物園はこれまでの歴史の中で、理学部のみならず、農学部、工学部、薬学部などの幅広い分野の研究、教育に大きく貢献してきました。植物園に生息する生物を材料に、植物学、動物学などの別を問わず数多くの論文が学術雑誌等に公表されており、また京大植物園をフィールドとして、多くの研究者が京都大学の博士号を得ています。

 私たち「考える会」は、植物園がこれまで経てきた80年を、次なる80年へ受け継いでいくため、活動の柱を以下の3点としてきました。
1)情報や意見の整理・集約
2)情報や意見の発信
3)植物園観察会の開催
 去る2003年11月16日には、京大総合人間学部において、『京大植物園80周年記念シンポジウム ?温故知新?』を、開催いたしました。基調講演に理学部植物学教室元講師の村田源先生をお招きしました。パネルディスカッションでは、京大内外の研究者・利用者のみならず、地域市民、その他植物園に多様な生物が息づいていることの恩恵に浴する人々、さらには理学部の管理当局もふくめ、様々な方からご意見をいただくことができました。開催1ヵ月後の12月19日には、みなさまにお答えいただいたアンケートともに、当会からの植物園の管理運営に関する提案書を提出いたしました。

 私たち考える会は、これまでもシンポジウム参加者のみなさまをはじめ、多くの方々のお力添えをいただいて、活動を続けてまいりました。今後も、我々の提案書やみなさまからの意見がどのように運営委員会に受け止められ、現場の管理運営に反映されたのかを見つめ、いままでの活動を実らせていきたいと考えています。
 植物園観察会の運営を継続してまいりますとともに、みなさまからのご意見ご支援を賜りたく存じます。



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